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Appleの「Liquid Glass(リキッドグラス)」とは何か?─デザインの歴史を変える“ガラスの再発明”

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2025年のWWDCで、Appleは「Liquid Glass(リキッドグラス)」という新しいデザイン言語を発表しました。

多くの人が「透明感のあるデザインになった」と感じたかもしれません。実は、デザイナーの視点から見ると、これは単なる見た目の変更ではありません。

むしろ、

「20年以上続いてきたデジタルデザインの進化の集大成」

とも言える出来事です。

なぜAppleは今、ガラスのようなデザインを採用したのでしょうか?

その答えを理解するには、まずデジタルデザインの歴史を少し振り返る必要があります。

実はLiquid Glassは突然生まれたわけではなく、過去のデザイン思想の積み重ねの先に存在しているのです。


第1章:スキューモーフィズムの時代

「まずは本物そっくりに作ろう」

2007年、初代iPhoneが登場しました。

当時のスマートフォンはまだ珍しく、多くの人にとって「画面を指で触る」という行為自体が新しい体験でした。

そこでAppleが採用したのが、

スキューモーフィズム(Skeuomorphism)

という考え方です。

簡単に言うと、

「本物に似せれば使い方が伝わる」

というデザイン手法です。

例えば、

  • メモ帳は紙の質感
  • カレンダーは革の手帳
  • 本棚は木製の棚
  • 電卓は実物の電卓

といった感じ。

初めてiPhoneを触った人でも、

「あ、これはノートだな」
「あ、これはボタンだな」

と直感的に理解できました。

今見ると少し懐かしいデザインですが、当時としては非常に理にかなっていました。


第2章:フラットデザイン革命

「装飾を削ぎ落とす」

2013年。

AppleはiOS7を発表します。

そして世界中のデザイナーに衝撃が走りました。

革が消えました。

木目も消えました。

立体感も消えました。

影もほとんど消えました。

代わりに現れたのは、

  • シンプルな色
  • 大きな余白
  • 細い線
  • ミニマルなアイコン

でした。

これが

フラットデザイン

です。

Appleのデザイン責任者だったジョナサン・アイブは、

「ユーザーはもう学習した」

と考えました。

もはや本物そっくりに見せなくても、

  • スワイプ
  • タップ
  • スクロール

を誰もが理解できる時代になったのです。

その結果、

Appleだけでなく、

  • Google
  • Microsoft
  • Adobe

なども次々とシンプルなデザインへ移行しました。

まさにデザイン界の大転換でした。


第3章:Material Designの登場

「フラットだけど平面じゃない」

ところが、フラットデザインには弱点もありました。

シンプルになりすぎたのです。

例えば、

  • どこが押せるのかわからない
  • どこが前面なのかわからない
  • 情報の優先順位が見えにくい

という課題が生まれました。

そこで2014年、

Googleが発表したのが

Material Design(マテリアルデザイン)

です。

これはとても面白い考え方でした。

Googleは、

「画面の中に紙が何枚も重なっている」

という世界観を作ったのです。

紙には厚みがあります。

厚みがあると影ができます。

影があると上下関係がわかります。

つまり、

フラットデザインのシンプルさを維持しながら、

人間が理解しやすい立体感を復活させたのです。


なぜMaterial Designは革命だったのか

それまでのデザインは、

  • 本物を真似る
  • もしくは完全に平面化する

という二択でした。

しかしMaterial Designは、

その中間を作りました。

例えば、

カードUI。

現在では当たり前ですが、

  • YouTube
  • Gmail
  • Google Maps

などで使われている「カード型デザイン」はMaterial Designによって一気に普及しました。

今のWebデザインを見渡すと、

実はかなりの部分がMaterial Designの影響を受けています。

デザイナーの世界では、

「Material DesignはUIデザインの教科書」

と言われることもあります。


第4章:Glassmorphismの流行

「透明感への憧れ」

その後、2020年前後になると、

デザイン界では

Glassmorphism(グラスモーフィズム)

が流行します。

ガラスのような透明感を持ったデザインです。

背景をぼかし、

半透明のパネルを重ね、

奥行きを表現します。

AppleのコントロールセンターやMacのUIにも、その要素は以前から見られていました。

ただし、この段階ではまだ、

「透明な板」

でした。

ガラスらしく見えるだけで、

本当にガラスのように振る舞うわけではありませんでした。


第5章:Liquid Glassの誕生

「ガラスそのものになる」

そして2025年。

Appleが発表したのが

Liquid Glass

です。

これは単なる透明デザインではありません。

Appleの説明を簡単にまとめると、

「本物のガラスのように光や色に反応するUI」

です。

例えば、

  • 背景の色を反射する
  • 光を屈折させる
  • コンテンツに合わせて変化する
  • 動きに応じて柔らかく形を変える

という特徴があります。

つまり、

透明なパネルではなく、

生きているガラス

なのです。


デザインの進化を一枚で整理すると

こう考えると非常にわかりやすいです。

時代キーワード世界観
スキューモーフィズム本物を再現革・木・紙
フラットデザイン装飾排除ミニマル
Material Design紙の重なりレイヤー
Glassmorphism透明感ガラス風
Liquid Glass光と空間本物のガラス

こうして見ると、

Liquid Glassは突然現れたものではなく、

20年近いデザイン進化の延長線上にあることがわかります。


なぜAppleは今Liquid Glassなのか?

ここが一番面白い部分です。

Appleは今、

Apple Vision Pro

を中心とした

「空間コンピューティング」

の世界を作ろうとしています。

スマホの中だけではありません。

将来的には、

現実空間そのものがインターフェースになる可能性があります。

その世界では、

重たいボタンや派手な装飾は不要です。

必要なのは、

空間に自然に溶け込むUI。

そこでガラスというモチーフが重要になります。

透明でありながら存在を感じられる。

主張しすぎず、それでいて美しい。

まさにARやVR時代に最適な表現なのです。


デザイナーとして感じること

個人的に興味深いのは、

デザインの歴史が一周しているように見えることです。

昔のAppleは、

革や木目を使って「物質感」を表現していました。

その後、

フラットデザインで物質感を捨てました。

そして今、

再び物質感を取り戻しています。

ただし今回は革や木ではありません。

光です。

反射です。

透明感です。

言い換えれば、

「現実世界を模倣する」のではなく、「現実世界の物理法則を模倣する」

段階に入ったのです。

これは非常に大きな違いです。


まとめ

Liquid Glassは未来のOSの入り口

デザインの歴史を振り返ると、

  • 本物を真似た時代
  • 平面化した時代
  • 紙を重ねた時代
  • ガラスを表現した時代

を経て、

ついに

ガラスそのものが振る舞う時代

へ到達しました。

もし今後、Webデザインやアプリデザインの世界で「半透明」「反射」「奥行き」「空間」がさらに増えていくなら、その出発点として語られるのは間違いなくLiquid Glassでしょう。

そして数年後、

私たちがARグラスを当たり前のように身につけている時代になったとき、

「そういえばLiquid Glassがポイントだったな」

と振り返る日が来るかもしれません。

デザインは単なる見た目ではありません。

人とテクノロジーの距離を縮めるための言語です。

Liquid Glassは、その言語が次の時代へ進むための、新しい一歩だと感じられます。

ABOUT ME
Junichi Ezawa
Junichi Ezawa
SHIN U DESIGN代表 / デザイナー
SHIN U DESIGN代表。大学卒業後に文化服装学院で服飾デザインを学ぶ。メンズアパレル企業にてSHOPスタッフとして販売キャリアを積み、生産管理の現場も経験する。スタートアップ企業にてファッションデザイナーとアパレルECサイトの店長を兼務。その後、都内のWeb制作会社にてデザイナー兼ディレクターとして十数年。コーポレートサイト、ECサイト、アプリ制作まで、UXデザインの視点で、より良いUIデザインを制作します。アパレルブランドJADE EARTHも運営中。HAPPYな2児の父。
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