「デザインって結局センスでしょ?」に終止符を打つ、プロの頭の中

こんにちは。
沢山のプロジェクトで、企業やブランドの想いを形にしてきたSHIN U DESIGNのジュンです。
デザインと聞くと「色を選ぶ仕事」「きれいに整える仕事」「センスのいい人がやるもの」と思われがちです。
もちろん、見た目の美しさやバランスも大切。でも本質はそこではありません。
今回のブログでは、「プロのデザイナーが何を見ているのか」「センスに頼らないデザイン思考」について、わかりやすくお話しします。これを読むことで、デザインを見る目が一段階深まるはずです。
1. デザインとは「問題解決」である
まず、最も誤解されがちなポイントから。
デザインとは、課題を美しく解決する手段です。
例えば、あなたがカフェをオープンする場合、ただ「おしゃれなロゴ」が欲しいわけではありませんよね?
- 若い女性客を呼びたいのか
- 地元密着で年配層をターゲットにしたいのか
- 高級路線なのか、カジュアルなのか
これによって「正解のロゴ」は全く変わります。
デザインとは「誰に、何を、どう伝えるか」を設計する行為。見た目の華やかさだけでは意味がありません。
2. デザイナーは「視線誘導」のプロ
優れたデザインには、見えない「流れ」があります。
たとえば、Webサイトのバナーを見てください。優れたデザイナーは、「視線の流れ」を徹底的に計算しています。
- 最初にどこを見るか(色・余白・動き)
- 次に何を見るか(キャッチコピーの配置)
- 最終的にどこをクリックしてもらうか(CTAボタン)
目の動きは心理と連動しています。人の無意識の行動を導くのがプロの仕事。
「なんとなく良い」には理由がある。
それを設計しているのが、デザインの真価です。
3. 配色にセンスは不要?心理学を活かす配色戦略
「色選びが苦手」「センスがない」と悩む人は多いですが、色は感覚ではなく理論で選ぶものです。
たとえば…
- 青=信頼、安心、誠実(金融・医療に多用されます)
- 赤=衝動、緊張、エネルギー(セールや緊急性の訴求)
- 緑=調和、自然、健康(オーガニックやエコ系)
加えて、色相環や補色、トーンの統一などを押さえれば、配色の精度は格段に上がります。
私は配色を考えるとき、「どんな感情を引き出したいか」からスタートします。
感情をデザインする、という視点を持つだけで、色の世界がぐっと深くなります。
4. 「余白」は恐れず使え
日本人は、空白を「もったいない」と感じやすい傾向があります。
でもデザインにおいて、余白は最高の装飾です。
- 余白があるから、情報が際立つ
- 余白があるから、読みやすい
- 余白があるから、高級感が生まれる
あえて詰め込まない。
それが「引き算の美学」。一流ブランドが空間を贅沢に使う理由はそこにあります。
5. 情報は「グルーピング」と「優先順位」で整理する
読み手は、頭から順番に読んでくれるとは限りません。
だからこそ、情報設計が命。
- 重要な情報は大きく、目立たせる
- 関連情報は近くに置き、視覚的にまとめる
- 比較や選択が必要な情報は表や図で整理
「どこから見ても伝わる構造」にすることで、読み手の負荷が減り、結果的に「わかりやすい」「好感が持てる」につながります。
6. 「なんとなく」を言語化する力
デザイナーとして一流を目指すなら、感覚の言語化が避けて通れません。
「いい感じですね」「ちょっと違和感がある」
それを言葉にできないと、チームで動くときに伝わりません。
優れたデザイナーは、クライアントに対してこう話します。
- 「このフォントを選んだのは、視認性と信頼感を両立させたかったからです」
- 「ボタンの色をオレンジにしたのは、心理的に行動を促す効果があるからです」
言葉で説得できるデザイナーは、信頼されます。
言語化できると、自分の中でも再現可能なスキルとして定着していきます。
まとめ:センスではなく、思考がすべてを決める
どんなに見た目が美しくても、「目的を果たせないデザイン」は評価されません。
逆に、見た目がシンプルでも「伝わる」「行動させる」「感じさせる」デザインは価値があります。
私が好きな言葉は、
デザインは、目に見える戦略です。
もしあなたが今、デザインに迷っているなら
「誰に、何を、どう伝えるか」
この問いに立ち返ってみてください。
センスに自信がなくても、思考と理論があれば、誰でも「伝えるデザイン」はできます。
そして、そこにあなたらしい美意識を重ねていくことで、唯一無二の“作品”になっていきます。
あなたのデザインが、伝わるものになりますように。