チェスターコート
チェスターコートとは、正式名称をチェスターフィールドコートと言い、19世紀にチェスターフィールド伯爵が初めて着たのが始まりと言われています。このコートは、あらゆるコートの中でも最も格式が高いコートでありながら、フォーマルだけではなく、ビジネスやカジュアルでも使えるスタイリングのしやすいコートです。
シングルのタイプと、ダブルのタイプがあります。
中でもクラシックなディテールになると、上襟が黒のベルベット、胸は箱ポケット、腰ポケットには雨蓋があります。そして、ウエストを絞ったシルエットになっています。
シングルとダブルの違いは、シングルの場合、前釦は比翼仕立てという、釦が見えないタイプの仕様になっていて、襟型はノッチドラペル。ダブルの場合は、襟型がピークドラペルになっています。
ただし、現在はクラシックなディテールはあまり見受けられず、シングルの前釦は打ち抜き(前釦が隠れていないタイプ)で、上襟もベルベットを使わず、共布になっているものが多いです。(上襟にベルベットが付いていないものをセミチェスターとも言うが、今は少なくなったためセミを付けることはほぼない)
クラシックなものとの違いとして、ディテールの他に挙げられる点としては「コート丈」もあります。丈が長い方が、よりクラシックな印象にはなります。というのは、燕尾服を着ても、その丈が見えない長さが必要だからなんです。
ですが、やはり最近ではあまり見られず、膝上くらいが主流になっています。
最後に、一つ豆知識を。上襟にベルベットが付けられたのは何故か?これは、フランス革命でルイ十六世やマリー・アントワネットが処刑されたことへの弔いの意味でつけたのが始まりといわれています。こんな風に、服には色々な意味や、理由があったりします。そんな由来を知るのもファッションの楽しみ方のひとつだと思います。